昨年発表されたとおり、Creative Archiveイニシアティブは、BBCの全放送データアーカイブのオンライン化を目指している。第一段階は今秋より開始され、主に自然史アーカイブから最長3分間の記録映像が約2,000件収録される。
公共サービスの使命の「論理的な延長」
公共のライセンス料金により全予算をまかなう放送機関として、BBCはこのCreative Archiveの設立を公共サービス付託の論理的な延長であると考えている。このアーカイブに含まれる資料は、Creative Commonsによって考案されたライセンスモデルに基づく予定だ。このモデルでは、営利を目的としない限り、用途や利用するデバイスを問わず、自由に資料をダウンロードすることが認められる。
Creative Archiveの総合ディレクター、Paul Gerhardtは、「Creative Archiveが、資料を新世代のデジタル・クリエイターに提供し、イギリスにおけるクリエイティブな文化の発展を刺激する活動の手本となること」を期待していると語った。
ネットワーク社会の権利擁護を訴える団体、Electronic Frontier Foundation(EFF)は、BBCの将来の役割を評価するイギリス政府の委員会に意見書を提出した。
EFFの欧州事業コーディネーター、Cory Doctorowはこう述べている。「Creative Archiveの設立は、BBCの歴史、そして世界の歴史において転換点となる事件です。これは英国人の文化的なアイデンティティを強めるパワーを持ち、世界を新しいレベルの創造性、自由、協調へと高めます」
なるべく広い範囲の人々とデバイスがアーカイブを利用できるようにするため、BBCは、2年前からDiracと呼ばれるインターネット・ストリーミング用のビデオ・コーデックの開発にも取り組んでいる。
BBCの研究開発部門によると、「オープンソース・コミュニティ、研究者、その他と協力してオープンなコーデックを開発したいと(BBCは)考えています。この技術に基づくオープンかつフリーに利用できる圧縮システムの開発活動への協力や支援を、私たちは歓迎します」
Diracは、今年の2月にSourceForgeプロジェクトとして発足し、0.4.2 Alphaバージョンが先週リリースされた。GPL、LGPL、Mozilla Public Licenseに従ってライセンス供与される。
最大の懸念はやはりコスト
コストは、BBCが解決しなければならない重大な課題である。Diracプロジェクトのマネージャー、Tim Borerは、こう説明する。「ゆくゆくは、数百万のユーザがストリーミングサービスを利用できるようにしたいのです。ユーザ単位でライセンスを許可するコーデックを使うのは、不経済です」
このようなオープンソースの取り組みが生まれてきた1つの要因として、BBC自身がもともと公共のサービスという出自を持つことが挙げられる。Borerは、こう言っている。「私たちの気風は一般企業とは違います。オープンソース・ソフトウェアの歩みは、私たちとまさに同じ方向に向かっています。気風が同じなのです」
Fergus Cassidyは、「The Sunday Tribune」のテクノロジ・コラムニストであり、NewsForgeとITMJの常連寄稿者である。