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レビュー:Red Hat Desktop

2004年06月16日 04:07AM
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昨年9月にデスクトップ製品をFedoraプロジェクトに譲り渡したにもかかわらず、米Red Hatは、法人向けのデスクトップ市場から撤退はしないと最近になって発表した。新たにリリースされたRed Hat Desktopは、スタンドアロンの製品としては提供されず、Red HatのStarter PackとExtension Packに同梱される。最初のリリースは、Red Hat Linux 9(RH9)がちょうど立ち止まったところからまた歩き始めたが、これは良いことでもあり、悪いことでもある。

インストール

このレビューを書くために使用したハードウェアは、Asus K8V Deluxeマザーボード、WD Caviar JB series 80GBハードディスク、ATI Radeon 9800 Pro AIW(後でBFG GeForce FX 5700 Ultraに換装)、SoundBlaster Audigy OEMサウンドボードを搭載したAthlon 64 3200+システムである。お使いのマシンの周辺機器がサポートされているかどうかを確認するには、まず「動作確認済みハードウェア」を参照されたい。

Red Hat Desktopのインストール・ユーティリティであるAnacondaは、RH9に付属のものと同じバージョンのようだ。内部に変更(選択可能なパッケージの更新や拡張は別として)があったとしても、ユーザには見えない。

x86エディションのグラフィカル・インストーラは、最新のATIグラフィックスカードを使用している場合にシステムをロックする。今回使用したATIグラフィックスカードはRH9のサポートリストに含まれていたが、Red Hat Desktopでは動作しなかった(試したのはRadeon 9800 Proだが、問題はすべてのR350ファミリとRV350ファミリで発生するようだ。つまり、すべての9800モデルと9600モデルで動かない)。該当するカードを使っている場合、テキストモードでインストールを行うか、別のビデオカードと入れ替える必要がある。XF86Configファイルを編集し、radeonドライバまたはatiドライバの代わりにvesaドライバを使用できるなら、グラフィカルモードを問題なく起動できるだろう。

シリアルATAハードディスクはVIA、Silicon Image、Promise SATAコントローラのいずれもサポートされないので、ICH5 SouthBridgeチップを載せたIntelベースのマザーボードを使う場合を別として、インストールはパラレルATA(標準IDE)ハードディスクに行う必要がある。こういった制限事項に目をつぶれば、Anacondaは、最良のオペレーティングシステム・インストールツールである。ソフトウェアのインストールが終わった後で、独自の"kickstart"ファイルを作成すれば、他のマシンでのインストールに使用できるようにAnacondaをカスタマイズできる。

AMD64インストーラを実行すると、ハードディスクのジオメトリを正しく検出できないという問題が起きた。その結果、前にi386エディションのために作成したパーティションを再利用できなかった。後でi386 DVDからのインストールをもう一度実行したところ、そのときも同じ問題が起こった。何が起きているのか正確なところは不明だが、最初にRed Hat Desktopのインストールを行ったときは、ハードディスクにインストールしていたRH9の古いスワップパーティションとホームパーティションは問題なく再利用できた。問題を追ってテストを重ねていくと、VIA VT8237 SouthBridgeコントローラにたどり着いた。どうやら、このコントローラはRed Hat Desktopで正しくサポートされていないらしい。幸い、深刻な問題ではない。

Anacondaは、3Com 3C940 Gigabit Ethernetカードの検出に失敗した。おかげで、Red Hat Networkにすぐに接続できなかった。幸い、このチップの製造元である独SysKonnectは、自社Webサイトからドライバをダウンロードできるようにしている。別のオペレーティングシステムをブートしてドライバをRed Hatのルートパーティションに保存した後で、ドライバモジュールをコンパイルしてインストールした。これでネットワークに接続できるようになった。最初は不安定だった接続も、2回ほど再起動した後で安定した。Intel Pro 1000 Ethernetカードを使った場合は、まったく問題なくネットワークに接続できた。

Red Hat Desktopインストール用のCD(バイナリ付)は全部で4枚ある。他に、オプションパッケージ用の1枚、ソースコードを収めた3枚、ドキュメントCDの2枚がある。Red Hatは、これらをダウンロード可能なISOとして提供しているが、ディスクのメディアキットをインストール・マニュアル付きで取り寄せることもできる。x86エディションは、AMD64/EM64Tエディションから独立したイメージとして用意されている。提供する機能やソフトウェアの点では両者は同じだが、64ビットエディションは32ビットエディションよりもパッケージが18個少ない(パッケージの総数は1,000を超える)。どちらのエディションも、メディアキットでは1枚の両面DVDに収録されている。メディアキットではDVDに収められているAMD64エディションが、ダウンロード版ではDVD ISOではなくCDサイズのイメージとして提供される。

Red Hat Desktop menu
Red Hatのインターフェイスは、わかりやすく使いやすい

システムの処理速度やインストールするソフトウェアの数にもよるが、インストール作業は1時間半から2時間ほどで終わるだろう。ハードウェア固有の問題が解決された後は、すべてが順調に進んだ。本当の問題は、システムの動作をテストし、適切に設定するのにかかる時間だった。

インストールの完了後、プロプライエリなNvidiaドライバをインストールしようとしたが、これはうまくいかなかった。ドライバのインストールプログラムは、Xサーバが動作している限り、ソフトウェアのインストールを実行しない。そこで、最初の課題は、Xサーバを安全にキルし、端末を表示することだった。この試練を乗り越えた後で、コマンドラインからNvidiaインストーラを起動したが、カーネルヘッダがインストールされていなかったので("everything"インストールを選択したのだが)、結局ドライバを使うことはできなかった。必要なヘッダをソースCDに探すこともできたが、そこまでして解決するほどの問題ではなかった。

機能

Red Hat Enterprise Linux 3の流れを汲むRed Hat Desktopには、他のデスクトップ・ディストリビューションにはない独特の機能が見られる。私の目にもっとも魅力的に映った機能は、ハードウェアを管理する特殊なツールの数々だ。たとえば、ドライバとメディアのマウント、アンマウントを扱うDisk Managementツール、通信デバイスをソフトウェアで利用できるように設定するInternet Configuration Wizard、ネットワークデバイスの制御と設定を行うNetwork Device Controlモジュール、ソフトウェアで検出されたデバイスの完全なリストとそのデバイスノードに関する情報を表示するHardware Browser、そしてもちろんRed Hatディストリビューションの至宝、Up2date。

Red Hat Desktop network config
Red Hat Desktopのネットワーク設定

Up2dateは、パートナーであるAlert Notification Toolと連携して、ソフトウェアを最新の状態に保つために、セキュリティ・アップデートとバグフィックスをダウンロードするツールである。たいていの場合、Red Hat Networkに自動的に(直接またはプロキシサーバまたはサテライトサーバ経由で)接続し、アップデートの有無をチェックし、インストールできるパッチがあればユーザに通知する。Linuxの世界では、Up2dateに匹敵する効率性を備えたアップデート・エージェントは、SUSEのYaST Online Update、Java Desktop SystemのJava System Update Service、LinspireのClick-N-Runアップデートサービスぐらいしかない。

また、Red Hat Desktopには、ソフトウェアインストールの過程で設定できるファイアウォール・プログラムが組み込まれている。サービスを個別に有効または無効に簡単に設定できるが、隔離されたプログラムやプロセスのために特定のポートを開ける必要がある上級ユーザにとっては、特別に便利な機能とは言えない。

Red Hat Desktopの使用

Red HatのBluecurveデスクトップ・テーマは、相変わらずよくできている。Red Hat DesktopとRH9、あるいは他のほとんどの最新のRed Hat製品との間に見た目の違いはない。ただし、Red Hat Desktopに収録されたバージョンの古いソフトウェアは、私の評価基準に照らしてもきらびやかとは言えず、新しいバージョンと比べて安定性に欠ける。

Red Hat Desktopには、お粗末極まりない問題がいくつかある。たとえば、以前にインストールしていたRH9環境から持ち越されたファイルがユーザのホームディレクトリにあったので、所有権の再割り当てを行おうとしたのだが、これが実行できない。すべてのファイルとディレクトリのアクセス権を変更し、古いプログラムのロックを消去するためには、rootでログインしなければならなかった。言い換えると、ソフトウェアを古いバージョンからアップグレードする試みが、ことごとく失敗に終わったのである。特定のオプションをアップグレードしようとしたのではない。新しいバージョンをインストールしようしたのにもかかわらずである。そのとばっちりを食ったのか、Red Hat User Managerがユーザ名を変更しているときにハングした。

Red Hat Desktop Internet apps
インターネットアプリケーションの一部はRHDに含まれている

私のラップトップシステムでは、標準設定の状態でPCMCIAネットワークアダプタがネットワーク(またはインターネット)に接続しなかった。原因は、PCMCIAモジュールがロードされる前にスタートアップ処理でネットワークが初期化されていたためである。NICを正常に機能させるため、システムをブートするたびにPCMCIAモジュールを削除して再インストールしなければならなかった。

Up2dateの初めての実行で、Red Hat Networkに大量の──14MBもの──アップデートが見つかった。そのすべてをダウンロードしてインストールしたが、1つだけ(ある種のカーネルアップデート)がインストールできなかった。エラーの理由は示されなかったが、RHNのダイアログには使用可能なアップデートがすべてインストールされたというメッセージが表示された。にもかかわらず、インストールされていないアップデートが1つ残っており、それを意味するRHNアイコンに赤い感嘆符が明滅を続けていた。このマシンに使用できるアップデートで、まだインストールされていないものがあるということだ。再起動すると(今回のアップデートに再起動を要するものはなかったが)、この問題は消えた。

ソフトウェアは総じて古めかしい。カーネルは2.4.21であり、Red Hatによって導入されたさまざまな特別なアップデートとバックポートが追加されている。Mozillaのバージョンは1.4.2(数バージョン前)、GIMPは1.2(1バージョン前)。Evolutionは、1つ前の1.4.5である(バグが非常に多く、一部はその後のバージョンでも修正されていない)。付属アプリケーションのバージョンが古いからといって、必ずしも使用に問題があるわけではないが、時流に取り残された感はある。既にGIMP 2.0を使用しているなら、1.2に戻るのは難しい。

Red Hatの戦略

Red Hatは、高度に洗練された製品を常に出荷してきたが、製品の適切なデザインとマーケティングには苦闘を続けてきた。コンシューマ・デスクトップ市場から撤退したことで、Red Hatには1つの製品──Red Hat Enterprise Linux──だけが残された。Red Hatは、ここから機能を削って複数の種類のパッケージを作成している。トップエンドの製品がAdvanced Serverであり、ローエンドの製品がRed Hat Desktopである。

Red Hatの古いLinuxデスクトップは、法人寄りに刷新されたといっても、以前の製品とのつながりをそれほど絶ったわけでも姿を変えたわけでもない。Red Hat Desktop 3は、この製品の最初にして唯一のバージョンである。バージョンがいきなり3になったのは、すべてのRHEL製品でバージョン番号が統一されるからだ。同じコアコードをベースとし、アップグレードも一斉に──12〜18か月ごとに──行われる。不定期にアップグレードされる他のオペレーティングシステムとは好対照である。リリーススケジュールは、採用した企業がソフトウェアのアップグレード時期を予定に織り込み、それに備えることが簡単にできるようにと考えられている。アップデートは、セキュリティホールをパッチし、バグを修正し、ハードウェアサポートを追加するために、年に4回リリースされる。Red Hat Desktopは、RHEL 3 Update 2をベースとしている。

Red Hat Desktopに付属するソフトウェアは、他のディストリビューションと比べて厳選されている。3種類のオフィススイートの代わりにOpenOffice.org(バージョン1.1.0)しかなく、数種類のWebブラウザの代わりにMozillaしかない。GNOME 2.2がデフォルトのデスクトップ環境だが、インストール時にKDE 3.13を選ぶこともできる。完全インストールに含まれるプログラムは解像度800x600でもメニューシステムにすんなりと収まるので、インターフェイスの操作は楽である。追加CDにはIBM Java Development Kit バージョン1.4.1、RealPlayer 8、AcroRead 5.08、Agfa Monotypeドキュメントフォント、ICAclient、Citrix ICA client for GNU/Linuxが収録されている。また、Red Hat Desktopのi386エディションには、Mozilla用のFlash、Java、AcroReadブラウザプラグインも含まれている。

サポートとドキュメント

標準サポートとして、電話またはWebによる30日間のインストールサポートが提供される。Webサポートは、実際には1年間に延長され、「基本設定」もサポート対象となる(ほとんど役に立たないが)。問い合わせに対して返事が返ってくるまで、電話サポートの場合に1日、Webサポートの場合に2日かかる。言い換えると、この「サポート」なるものは茶番も同然なのだが、法人デスクトップ・オペレーティングシステムの世界では常識らしい。システム管理者などの社内ITスタッフが、Red Hat Desktopのインストールをサポートしてくれることを期待するしかない。Red Hatのもっと高級なサポートに大枚をはたくなら別だが、私は必ずしもそういったサポートを当てにしない。電話サポートは、たとえどれほどの料金を支払ったとしても本当の助けにはならない。スキルのある技術者やエンジニアが身内にいることは、何物にも代えがたい。

メディアキットを取り寄せると、「オプション」のインストールガイドが無償で付いてくる。RH9のボックス版に同梱されていたインストールガイドには見劣りするが、何をすればいいかわからない場合は、面倒を省くのに役立つだろう。ハードウェアがサポートされていればインストールは朝飯前であり、Red Hat Desktopをインストールするほどの人がオペレーティングシステムのインストールと設定に不慣れだとは考えにくいので、紙のガイドブックは必要ない。ただし、メディアキットは手に入れる価値がある。

結論

Red Hat Desktopのインストールやカスタマイズは簡単なはずだが、苦労する場合もある。ビデオカード遊びをしたこともなく、古い(サポートされていると期待できる)ネットワークカードを使っていた私でさえ、不完全なパーティション・ユーティリティや、同じユーザ名で古いホームディレクトリを変更できないといった問題との格闘を余儀なくされた。このような問題が誰にでも起きるわけではないとしても、私の知らないどんな問題が他にまだ隠れているのだろうかと思わずにはいられない。

全体的には、Red Hat Desktopを使用していて、それより新しいオペレーティングシステムを使用する場合よりも多くの苦労を味わうとは思わない。どれも似たような難点を抱えているし、輪をかけてひどいこともある。

Red Hat Desktopのライセンスはなかなかオープンだ。GPLの4つの自由を少し言い換えたような内容であり、例によって保証、信頼性、対処法といったセクションに分かれている。他の商用GNU/Linuxディストリビューションとは違い、Red Hat Desktopには、ユーザの活動を制約するライセンス条件を伴うプロプライエタリなツールは統合されていない。全般的には、好ましいライセンスである。

Red Hat Desktopは、これまで古いバージョンのWindowsを利用していた一般社員にとって、極上の低レベルコンピューティング・プラットフォームである。Windows 98またはWindows NTの環境をRed Hat製品と置き換えることで、セキュリティ、サポート、ライセンスコスト削減が達成できる。ホームデスクトップユーザは、Red Hat DesktopよりもFedora Coreを歓迎するだろう。Fedora Coreは、最新のオペレーティングシステムであり、ずっと新しいプログラムとカーネルが含まれ、他に類を見ない64ビットのAMD64プラットフォーム向けサポートがある。自宅での利用やホビーユースには、ずっと適している。

用途 オペレーティングシステム
ベンダー Red Hat Inc.
アーキテクチャ x86、AMD64/EM64T
ライセンス GNU General Public License(一部の追加プログラムは別のライセンスに従う)
マーケット エンタープライズレベルの法人
可用性 Red Hat Desktopは、スタンドアロン製品としては提供されない。Red Hatから提供される2つのパッケージ(Starter PackとExtension Pack)に同梱される。Starter Packには、プロキシサーバまたはサテライトサーバ、10または50のDesktop Management Module使用権(プロキシサーバの場合に10、サテライトサーバの場合に50)が含まれる。Extension Packには、サーバーソフトウェアは含まれないが、50のDesktop Management Module使用権が含まれる。このパッケージは、既にRed Hatサーバを導入していて、現行のデスクトップ・オペレーティングシステムを置き換えたいユーザを対象としている。
前のバージョン Red Hat Linux 9、Red Hat Enterprise Linux 3
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Jem Matzan─―3冊の著作があるフリーランスのジャーナリスト。The Jem Reportの編集長でもある。

2007年07月01日 07:05PM 更新